マーケットポートフォリオは、投資の基本概念の一つであり、市場全体の資産を含む理論的なポートフォリオです。この記事では、マーケットポートフォリオについて詳しく解説します。さらに、リスク分散や効率的な資産配分のメリットを紹介し、具体的な計算方法や資産配分例を通じて、実際の投資戦略への応用方法をわかりやすく説明します。
マーケットポートフォリオとは
マーケットポートフォリオとは、理論的には市場全体のすべての投資可能な資産を含むポートフォリオを指します。これには株式、債券、不動産、コモディティなど、多岐にわたる資産が含まれます。マーケットポートフォリオは、資産の時価総額で加重されているため、各資産の割合はその市場価値に比例しています。
マーケットポートフォリオのメリット
表につらつら書いてますが整理すると下記の3点がメリットです。
- そのまま投資のポートフォリオとして使うもよし
- 自分のポートフォリオを構築する際のベースとして使うもよし。
- 市場の平均的なベンチマークとして使うもよし
項目 | 説明 |
---|---|
分散効果 | マーケットポートフォリオは、非常に広範な資産を含むため、リスクの分散効果が最大化されます。特定の資産クラスや個別銘柄のリスクに依存することなく、全体的なリスクを低減できます。 |
市場のベンチマーク | マーケットポートフォリオは、理論的には市場全体を反映するため、他のポートフォリオや投資戦略のパフォーマンスを評価する際のベンチマークとして利用されます。これにより、投資家は自分の投資が市場全体に対してどれだけのパフォーマンスを上げているかを評価できます。 |
効率的市場仮説の基礎 | 効率的市場仮説(EMH)に基づくと、マーケットポートフォリオは最も効率的なポートフォリオとされ、リスクとリターンのバランスが最も優れています。この仮説に従えば、マーケットポートフォリオに投資することが最適な戦略となります。 |
資産配分の基準 | マーケットポートフォリオは資産配分の基準として使用され、長期的な投資戦略の構築に役立ちます。これにより、投資家はバランスの取れたポートフォリオを維持しやすくなります。 |
計算方法
一般的な計算手順は以下です。
- 資産のリストアップ
- 投資可能なすべての資産クラスをリストアップします。
- 市場価値の算出
- 各資産クラスの市場価値を算出します。
- 総市場価値の算出
- 特定されたすべての資産の市場価値を合計して、ポートフォリオの総市場価値を求めます
- 資産の重みを計算する
- 市場ポートフォリオ内の各資産の重みを次のように計算します:
- 市場ポートフォリオの期待リターンを計算する
- 期待リターンは、各資産の期待リターンの加重平均を使用して計算できます
- : ポートフォリオの期待リターンです。
- : 資産 の重みです。
- : 資産 の期待リターンです。
- : ポートフォリオ内の資産の総数です。
- 市場ポートフォリオのリスクを計算する
- リスク(標準偏差)は、資産リターンの共分散行列を使用して計算できます
- はポートフォリオの分散です。
- は資産 の重みです。
- は資産 の重みです。
- は資産 と資産 の共分散です。
- はポートフォリオ内の資産の総数です。
計算例
1. 資産のリストアップ
資産クラスは一般的なロボアドに倣って以下とします。
- 米国株
- 先進国株(除く米国)
- 新興国株
- 米国債
- ハイイールド債
- 新興国債
- 米国不動産
- 金
2. 市場価値の算出
今回はChatGptにそれっぽいデータを持ってきてもらいました。(正確さはおいておく)
- 米国株: 約50.8兆ドル
- 先進国株(除く米国): 約27.6兆ドル
- 新興国株: 約10.2兆ドル
- 米国債: 約23.2兆ドル
- ハイイールド債: 約1.7兆ドル
- 新興国債: 約3.2兆ドル
- 米国不動産: 約11.5兆ドル
- 金: 約1.3兆ドル
3. 総市場価値の算出
総市場価値 = 約129.5兆ドル
4. 資産の重みを計算する
これがマーケットポートフォリオの割合になります。
資産クラス | 市場価値(兆ドル) | 重み |
---|---|---|
米国株 | 50.8 | 0.3923 |
先進国株(除く米国) | 27.6 | 0.2131 |
新興国株 | 10.2 | 0.0788 |
米国債 | 23.2 | 0.1792 |
ハイイールド債 | 1.7 | 0.0131 |
新興国債 | 3.2 | 0.0247 |
米国不動産 | 11.5 | 0.0888 |
金 | 1.3 | 0.0100 |
最後に
マーケットポートフォリオは、投資リスクを分散し効率的な資産配分を行うためのベースとなるポートフォリオとして非常に便利です。自分でポートフォリオを作りたい場合や評価したい場合を除き、計算が必要になるタイミングはあまりないかもしれませんが、理論ではよく出てくる単語なので覚えておいて損はないと思います。